ハメドゥスト    テヘラン通信   第65号 






サラーム。ハレショマフーベ。
 今週のイランは話題に富んだ週でした。100日目を迎えたハタミ大統領の再度、公約実行を宣言した国民への演説、7ヶ月間不在だったEU諸国の大使のイランへの帰国、そして、イラン対オーストラリアのサッカーの試合、どれも国民の関心をひいた話題でした。サッカーはオーストラリアに先制点を取られたのですが、96年のアジア最優秀選手、イランのホルダド・アジジが同点ゴールを決めドローで終わりました。
 さて、今回はイラン国内旅行最後となるタブリーズの旅についてです。

 
◆タブリーズ列車の旅
 タブリーズはイラン北西部にある町で、古くは何度もイランの首都となり栄えたところです。絨毯の産地でもあり、絵画やタブリーズパターンの絨毯で世界的にも有名です。今回の見所は、カンダバーン村というタブリーズから50km離れた、奇岩群を利用して作られた村と絨毯、絨毯織りの工房を見学することでした。
 カンダバーンの奇岩群はトルコのカッパドキア奇岩群に似ておりおり、山の斜面からニョキニョキと筆の先が出たような岩が連なっており、そこに穴を掘り、住居として村の人達は住んでいました。原始的な家なのですが電気や水道はきちんと通っていることには驚きました。
 絨毯はバザールで見れたのですが、工房はたまたま店のオーナーが工房まで連れって行ってくれ見学することが出来ました。絨毯織りは一般的に女の人の仕事で、先生も女の人が織っているところしか見たことがなかったのですが、狭い工房で男の人達が20人近く織っている様子を見学しました。1日12時間朝の8時から織り続けるということを聞きました。中には学校も行かないで働いている10才の子供がいて、ショックでした。
 今回初めて鉄道を利用して旅行をしました。噂で聞いていた単線の線路、子供達が列車に向かって石を投げて窓ガラスを割ることは本当でしたが、小綺麗で暖房完備の客車、時間通りに出発すること、低料金には満足しました。お祈りの時間には近くの駅で列車が止まり、イランの人達は駅のモスクでお祈りをしていました。彼らの敬虔さを改めて感じました。帰りの飛行機からみたテヘランの夜景の美しさは一生忘れないと思いました。


                イラン鉄道事情
 

 イランの鉄道はほとんどが貨物輸送(全体の90%)に使われており、旅客輸送としては本数が非常に少ないです。また、時間もかかるので、バスや飛行機の方が利用しやすいのです。切符の入手も簡単ではなくテヘラン駅近くに行って購入しなければなりません。 今回の旅行ではテヘラン―タブリーズ間の736kmを13時間半かかりました。(飛行機では約1時間)
 昨年6月にマシャッド(イラン)―サラフス(トルクメニスタン)間が開通し全路線距離は5665kmになりました。(日本は27000km)この鉄道が開通したことにより中国から中央アジア、トルコを経由してヨーロッパまで鉄道がつながったことになります。日本はJICA(国際協力事業団)を通じて、1992年から約4年間イランに信号訓練の技術協力をしていました。先生は副読本を制作する際、鉄道担当でJICAの方々の苦労話を聞くことができました