ハメドゥスト テヘラン通信 第57号
サラーム。ハレショマフーベ。
テヘランは、2学期の始まる1週間前くらいから朝夕が涼しくなりました。と言っても、日中は厳しい暑さが続いていますが。皆さん、新学期が始まり、張り切っていることと思います。
さて、今回はイランの子供達の夏休みの過ごし方とこの夏テヘランで最も話題となった「テヘランの吸血鬼」のことをお知らせしようと思います。
◆ イランの子供達の夏休み
イランの夏休みは6月から9月の3ヶ月間です。この休みは日本の春休みに当たるもので、学年が変わる前の休みと思って下さい。ですから、この休みの間に入学試験や進級テスト、補習などが行われます。
でも、それらのことが行われるにしても3ヶ月の休みはあまりにも長いと思い、イランの子供達はその間、どのように過ごしているのか調べてみました。
夏休みが始まった1週間程は、学校に行く子供達を多く見かけ、補習や水泳教室などが行われていたようなのですが、それ以後は完全に休みとなってしまいました。
休み中、キャンプへ行く学校もあるのですが、クラブ活動をしている学校はないようです。習い事として習字や絵を習う子供が多く、週に2、3回通っているという話も聞きました。また、私学の学校でも習字や図工の授業を休み中に行っているところもあるぐらいです。創造性をのばすことが目的だそうです。
日本と同じように学習塾に通い、勉強漬けの生活を送る子もいます多くのイランの子供達は、友達とほとんどの時間を過ごし、夜遅くまで遊び回っているというのが現状です。
日本と違うのは、この時期アルバイトをしている子供を多く見かけることです。小遣い欲しさが一番の目的なのですが、彼らを見て、複雑な心境でした。
◆ テヘランの吸血鬼
この夏、テヘランでは背筋の凍るような事件が話題となりました。タクシー運転手を装い、今年の2月から6月の間に少なくとも9人の女性を誘拐、暴行、殺害し、証拠隠滅(いんめつ)のために死体を燃やしていた男が捕まったのです。この事件は当初アフガニスタン人の仕業とされていたのですが、犯人はホラーサン出身の28歳のイラン人でした。治安がよいとみなされているイスラムの国でこのような事件が起こったことに私たち外国人もたいへん驚かされました。
連日、新聞、テレビで報道され、事件を興味深く追っていたのですが、この男は1993年にも誘拐、暴行で逮捕され、死刑判決が出されていたのですが、脱走し、今回の事件を起こしたそうです。裁判が行われ、最終的に10回の死刑判決が出されました。死刑は首吊りによって行われることになったのですが、犠牲者からは「石打ち」の刑を求める声が多かったようです。
刑の執行は早朝、公衆の目前で行われました。まず、家族や親戚が男をムチ打ちにし(214回打ったそうです)、それからクレーンで吊され、死刑にされました。
男が早朝や夜遅く犯行を実行していたことから「吸血鬼」と名付けられていました。