ハメドゥスト テヘラン通信 第36号
サラーム。フーベ?
テヘランでは、寒波が少し和らぎ2、3日暖かい日が続いています。しかし、その陽気とはうらはらに、今週の土曜日(11月16日)からは連日テヘラン市内とイラン第二の聖地コムでのデモで緊張した雰囲気が続いています。原因は、ドイツの裁判所が1992年、ベルリンで起こった反イランクルド人組織数名の殺害事件をイラン政府のテロと断定した判決をくだしたからです。金曜礼拝(毎週各地で、イスラム聖職者の偉いお坊さんが説教をし、テレビなどでも放映される)でイランがテロやその事件に関与していないこと、イスラムやイラン最高指導者が侮辱を受けたを訴えられると、それから連日ドイツ大使館へのデモンストレーションが行われました。議会では、最大貿易国ドイツとの関係を見直す要求が出され、圧倒的多数で可決されました。新聞では、ドイツを「第二のアメリカ」とし、ドイツ大使館へ押し寄せる人の写真が一面に掲載されていました。また、イラン・イラク戦争でドイツがイラクに化学兵器を援助していたことも報道し、徹底的に「反ドイツ」を強調していました。イスラムとイラン・シーア派の団結を見せつけられ、圧倒された1週間でした。
今回は小学4年生の社会でテヘラン市内のゴミ調べをしたことについてです。
◆ テヘラン市内のゴミ調べ
テヘランに住む人々はゴミを道端などに投げ捨てるという悪い癖があり、日本のように決められた日に、決められた場所にゴミを出すという厳しいルールもないのですが、比較的町はきれいに保たれています。
それは24時間体制で町中を掃除してくれている人々がいるからです。児童のインタビューによると、彼らは8時間交代で3シフト制で働き、責任範囲を日に5、6回掃除をしているとのです。
彼らは、道を掃除するグループと家庭から出されたゴミを集めるグループに分かれ作業をしています。道を掃除するのはほとんど手作業でほうきを使って行っています。道のゴミを端に集めまとめるのですが、わざわざ溝に落として水を流してゴミを集めている場面も見られました。これは、ゴミ集めと木への水やりを兼ねているためです。テヘランには街路樹が多いという話はしましたが、それらは溝に植えられ、いろいろな方法で水分を摂取できるように工夫されています。ジュープシステムと言われイギリスでも採用されている合理的な水やりの方法です。
児童の質問の中で「誰のために働いているのですか」というものがあり、教科書や児童の予想する答えでは「町に住んでいる皆さんのためです」だったのですが、実際は「自分のため」「会社のため」「お金の
ため」「掃除しないと怒られるから」というものばかりで先生も児童も期待していた返事をもらえず、がっかりしました。しかし、別な角度から地域で自分たちのために働いている人達の姿を見て、接して現実のイランの姿を考える機会が持てたようです。良い学習ができました。
イランの廃品回収屋さん
日本では新聞などの廃品を回収して、トイレットペーパーやお金と換えてくれるサービスがありますが、イランでもそれに似たことがあります。と、言っても先生はまだ、利用したことがありません。なぜなら、それは人々が食べられなくなったナンと塩を交換するものだからです。そのサービスを行っている人は「ナマキ(塩という意味)」と呼ばれ、朝早くから「ナマキー、ナマキー」と大声で叫び町中を回っています。彼らは、ナンを回収し、それを動物の飼料にしているという話です。なぜ、塩と交換するのかと言うことですが、きちんと調べていないので確かではないのでですが、塩は比較的簡単に手に入り、生活に欠かすことができないものだからだです。大昔、イランを含むこの辺りの大陸は海で、その後、隆起してでき、塩の山と呼ばれる岩塩の山もあるぐらいなので、手軽に手に入るのだと考えられます。 |