ハメドゥスト    テヘラン通信   第63号 





サラーム。フービ、ショマ。
 今週のテヘランは1週間に5日間連続雨(時々曇り空もありましたが)という先生がこの2年半に経験しなかった事が起き、皆、驚いています。テヘラン市内を見下ろすアルボールーズ山脈の頂は雪化粧され、風も冷たく初冬といったところです。学校でも、家でもラジエター(暖房装置)が入っています。皆さん、お元気ですか。
 11月4日はイラン暦アーバン13日でイランの人達にとって、過去に3つの重大な出来事が起こった日でした。1つ目は1964年のホメイニ氏の国外追放。2つ目は1978年に起こった当時の体制側による反体制・反米デモを行っていた大学生への弾圧。テヘラン大学前で多くの学生が殺されたそうです。そして、3つ目はその翌年の1979年に起こったアメリカ大使館占領事件です。いずれも「イラン革命」の要因となったもので、この日には毎年、反米デモがアメリカ の旗を燃やしたり、集会、行進をして行われています。これからハタミ政権はアメリカと国交を回復していこうとしているようですが前途は多難だと思いました。

(6)イランの人の結婚

 AETが今度結婚することになりました。いろいろと結婚相手や結婚のことについて喜んで話をしていたのですが、ある朝、不機嫌な顔で学校へやってきました。理由は結婚の「契約金」について両家で話が合わないとのことでした。
 イスラム教社会では、どんな取引においても「契約」が必要とされ、結婚に関しても例外でないとのことです。この契約金のことを「メヘリエ」と言い、花婿側が花嫁側に渡すものだそうです。お金や金貨が普通だそうです。これは、日本である結納金の役割と、驚くことに、離婚保証金の両方の役割があるそうです。結婚の時に、離婚のことも考える不思議なというか、用意周到な制度と思いました。
 で、AETの彼女の不機嫌な理由ですが彼女の父がメヘリエとして金貨1353枚を要求したというのです。日本円で約1600万円とのことです。1353という数字は彼女のイラン暦の生まれ年だそうです。彼女には申し訳ないのですが嘘のような本当の話を聞いたときには、笑いをかみ殺しました。はたして、それだけのお金を花婿側は準備できるのかどうか。「愛があれば、そんなものは要らない。」という彼女。彼らに今後どのような展開が待っているか分かりませんが、苦難を乗り越え、幸せになってもらいたいものです。

                 小学部に英会話授業導入
 とうとうやりました、小学部への英会話の授業導入。2年前の秋から中東地域でテヘラン日本人学校だけが英会話の授業をしていないので、英会話授業導入をお願いしたのですが、諸処の事情で実行できずにいましたが、昨年度からAET(Assistant English Teacher)制度を認めてもらい、今年度小学部の英会話授業を年度の途中ですが、試行とういことで始められることになりました。国際的感覚を身に付けるためにほとんどの海外の日本人学校で英会話授業が行われているのですが、やっとテヘラン日本人学校も環境だけは他の日本人学校に追いついたといったところです。5、6年生の児童を対象に行われるのですが、全員が英会話の授業を受けてみたい、日常会話ぐらいは話せるようになりたい、というような希望があり、先生も彼らの希望に応えて行きたいと思っています。各学年とも2回の授業が終了したのですが、授業に対する意欲が旺盛で先生もAETもたいへん喜んでいます。先生にとっては小学生に英会話を教えるということが初めてで毎授業の計画に悪戦苦闘していますが、英会話の授業を通して、彼らの国際的な感覚を養って行きたいと思っています。今、彼らに口酸っぱく言っていることは、「意志表示をはっきりする」ということです。分からなかったら、「分からない」、聞こえなかったら、「もう1度言って下さい」とAETに向かって言うことを教えています。